刀をスられたり忘れたりする武士がいたとしても、やはり日本刀は神聖視されていました。
人様の刀をまたいで通ると、斬り殺されても文句はいえません。
武士に左利きはいないそうです。
通行中に刀の鞘と鞘がぶつかり合ったりして、斬りあいになったりすることもあり、刀を左の腰に差し、右手で抜くというのが徹底されました。
そして歩くときは左側通行です。一方通行で歩いていれば鞘と鞘がぶつかる心配はありません。
いざ出陣という場面で、バラバラに行くのではなく、左側通行厳守で行くわけです。
時代劇では捕物帳が多いですが、日本刀を帯刀しているのは、同心です。
同心は人を斬ることができないように刃引きをした刀を帯刀していました。取り押さえた下手人を斬り殺さないようにするためです。
火付盗賊改方が出てくる有名な時代劇も斬って捨てるシーンが多いようですが、火付盗賊改方は下手人を捕らえての拷問が激烈だったそうです。
あまりにも抵抗する下手人の場合、抜刀命令を出す場合もあったそうです。もちろんすぐにというわけではなく、一番手、二番手、後詰めと同心が全員で捕らえようとしても歯が立たないときに、検視役の与力が抜刀命令をだしていたそうです。まずは刺股で取り押さえたりしていたのでしょうか。
武士は威厳がなければなりません。下級武士は別として所作や作法に気をつけながら生きていたようです。
まず走ったりしてはだめです。立ち話もだめです。理由もなしに走ったりしたら切腹です。
雨が降って雨宿りを探して小走りになるのもだめです。というか雨宿りも禁止です。
武士は濡れたまま歩きます。その際、刀にだけは手ぬぐいをかぶせませます。刀の柄が濡れると滑って刀が抜けなくなるからです。また柄が濡れたら劣化します。
自分は濡れても刀は守らなければなりません。