「判官びいき」と短刀

日本人の潜在的な意識の中にある「判官びいき」は、室町時代に書かれた「義経記(ぎけいき)」の中に、その始まりがあるなどとも言われています。日本人の特徴とも言える「判官びいき」は、現代の私たちの精神にも息づいているのではないでしょうか。幕末を駆け抜けた新撰組のメンバー達も、この判官びいきをもって、多くのファンを惹きつけているなどとも言われています。弱い者への同情心や哀悼の意が、日本人の美意識を刺激しているのかもしれません。「義経記」の中に登場する「今剣(いまのつるぎ)」は、源義経の短刀である言われています。北洲の衣川で義経が自害する際に出てくるのが「今剣」であります。 義経は、平氏との戦いに勝利を納め強い武将でありましたが、腹違いの兄の源頼朝によって、自害させられてしまったようです。「今剣」は、義経の壮絶な最後のシーンを語る際に必ず登場してくる短刀ですが、「義経記」の中では、壮絶な描写で義経の最後が描かれているようです。この義経の最後が描かれている「義経記」は、後の南北朝時代から室町時代の頃に描かれているので、そのストーリーの信憑性を疑う専門家たちもいるようですが、日本人の半官びいきの始まりともされ、大変有名な物語でもあります。