刀鍛冶の担い手が増えるためには、鍛冶という仕事で食べていけるという見通しが立たなければなりません。しかしそのような環境、経済的援助は、今のところ期待できません。敢えて光明を挙げるとすれば、海外における評価ではないでしょうか。日本刀の文化を守ろうとする人は、何も日本人に限られません。海外でも高く評価されている日本刀をめぐり、その芸術を守るべきだと考える人が世界的に増えています。今後は日本刀を守りたければ、世界市場で成功することも選択肢でしょう。ただ、日本刀の精神や美意識についてよく理解していない人に売りつけるだけでは、根本的な問題は解決しません。下手な成金に名刀を売却してしまうと、ぞんざいに扱われてしまう可能性があるからです。買ってくれる相手を選ぶほどの余裕はないでしょうが、今後の課題となるでしょう。
国内であろうが海外であろうが、日本刀の適正取引が望まれます。最近はますます日本刀に対する評価が高まっていますから、ある程度の価格が付くことは期待できます。しかし名刀ならともかく、それ以外の全ての日本刀が厚遇されるわけではありません。ばらつきがあり、また激しく変動します。それは日本刀が投機の対象になっているからです。例えば、一昔前であれば家と同じくらいの値段が付いた日本刀が、今では数百万円で取引されていることも珍しくありません。もちろん逆に高騰することもあります。ただ名刀中の名刀に関しては国宝扱いされますから、価格変動が起こりにくいとされています。
購入者としては、どのような点に注意して選べばよいのでしょうか。結論から言えば、人によって異なります。傷が付いていようが、名刀であれば何でもよいと考える人もいる一方、飾り物として購入する以上は綺麗な状態の刀を入手したいと願う人もいます。いずれにしても自分の目的とあった刀を選べるように、相場を学んだり、市場で手に取ってみたりすることが大切でしょう。