日本刀というのは武器で、相手を斬るためのものでもあるかと思います。
斬りあいともなると命がけなので、どちらも懇親の力を出すのではないかと思いますが、そんな中で刀が刀であり続けることができるのかとても不思議です。時代劇でも刃こぼれや刃が折れるという描写があっても、竹目釘が吹っ飛んで刃が取れたというのは見たことがありません。いったいどうなっているのでしょうか。ある時代劇短編小説で、武士が刀で打ち合っている最中に目釘が折れて刀身が抜け落ちたという描写があったそうです。それに対して日本刀の目釘が折れることはないという反論が出版社に寄せられたそうです。日本刀が武器として使用されるとき、激しい打ち合いが想定されるかと思います。
けれど刀身と柄の締結は目釘と呼ばれる竹釘一本。直径数ミリの目釘竹を刀身と柄にそれぞれ空けられた目釘穴に通すことによって一体化されているわけですが、これで激しい打ち合いに対応しているというのが凄いことだと思います。そして改めて伝統的技術の凄さが伝わってくるかと思います。目釘が折れるという現象は、折損、折れ曲がる、曲がって壊れるというふうに言い換えることができるかと思います。機械工学の材料力学上では、曲げ応力、曲げ変形と考えているそうです。外力の作用によって曲げモーメントが生じて、竹目釘には曲げ応力が作用するそうです。材料の降伏応力を超えた場合、塑性変形が進行して、破断強度を超えてしまえば折れ曲がって壊れてしまうそうです。したがって、目釘の強度を超える外力が作用しなければ折れることはないといえるそうです。日本刀が激しい打ち合いにおいてもなぜ「目釘」は破損しないのかということを衝撃工学の立場から検証している人もいるそうです。