日本刀を研究している人が、ある刀匠に「目釘穴の位置はどのように決めているのか」という質問をしたそうです。それに対して刀匠は「掟に従う」と応えたそうです。竹目釘が破損しないのは、目釘穴の位置に関係するのではないかと考えての質問だったそうです。その掟とは、刀工の経験と試行錯誤から極めた作刀技術の伝承ということになるかと思います。目釘に関しての伝承や文献というのはとても少ないそうです。目釘の位置ということに関しては、大昔は茎の真ん中に目釘穴を空けていたそうです。ただ、それでは不具合だったそうです。そのため、14世紀の建武期のころから、目釘穴を区寄りに設けるようになったそうです。ただ、これに関して根拠を示す文献などはないそうです。太刀や刀による戦闘の長年の経験が伝承されていたということになるようです。刀身のみによる衝撃応答に関して、区付近における振動振幅が、他の部位に比べて相対的に小さくなっているということですが、それが決して目釘穴のところで最も小さいかというとそうではないそうです。これは戦うための道具から美術工芸品として発展してきたということもあり、目釘穴の位置も形骸化したのではないかと考えられているそうです。また、この実験自体が実戦でやっているわけではないので、武器として戦った時とは違うのかもしれないからだそうです。そのようなことを考えて実験した場合、確かに日本刀の打ち合いにおいて目釘竹が破損するほどの力が作用しないと推定することができたそうです。目釘穴の位置は各流派、刀匠の掟に従って決まっているそうです。
鎌倉時代の昔から、日本刀の打ち合いによって生じる衝撃的な力が最小になる位置に目釘穴を設けているということになるそうです。